#5 嵐の夜の夢(雅隆の場合)その2
なんか夢見が悪いよ。
あーーー、胸がドキドキする!!
そういえば、、、日本の神話では、
神様と人間が恋に落ちたり、結婚したり、
意外と普通にそういうお話があるよな。
ギリシャ神話とかもそういうのあったし~、
そういえば。
世有子さん視点でも翠月はこの世のモノとは思えない美しさだった。
やや低めの落ち着いた感じがする美声。
あれ、、、ちょっと、
見方を変えると女の子に見えるな。
顔の輪郭がやわらかいし、角ばってないし。
これってある意味おいしい状況?
え?
なにがおいしいって?
だって、、、、世有子さんと抱き合ってるし、、、
百合っぽい。
あはは!
あと、、、いい香りがする。
グリーンノート系かなぁ~?
オレ、この香り結構好きかも。
翠月は世有子さんの髪を優しく撫でる。
なんか、髪の毛をいじくられると眠くなる。
世有子さんの意識がだんだん遠くなる。
「…翠月さま、、、ちょっと眠くなりました…」
「少しおやすみなさい。お疲れなんですよ」
「でも…」
「子守唄など歌って差し上げましょうか」
キレイな旋律。
低くて聞いていると落ち着く声。
世有子さんの意識はますます遠くなり、
そしてあっという間に眠りの世界に行ってしまった。
そして、、、オレもまた眠りの世界へ。
世有子さんは夢を見ているようだった。
火!火!火!
駄洒落じゃありません。
火山がどどんと噴火しているところにやって来た世有子さん。
なぜか彼女の周りだけ被害がない。
あれれ、、、なんでだ?
「荒ぶる神よ。お初にお目にかかります。
私は×××の世有子と申します。
どうか、お静まりくださいませ」
淡々という世有子さん。
火が、、炎がユラユラと大きく揺れ
帰れといわんばかりに世有子さんの方に!!
「お怒りはごもっともでございますが、
当人達は反省しておりますし、
償いはさせますので、お許しください」
「許せというのか許せと!!」
「はい」
きっぱりという世有子さんなんかカッコイイ。
いきなり大雨が降り、火は一瞬で消え、
あっという間に草原に。
「まあまあ、その辺が潮時でしょ」
世有子さんの頭上に雲が現れ、
それが手のひらサイズのお髭をはやしたご老体になり、
世有子さんの肩に腰掛ける。
「そなたは幼すぎる。
で、あるからこの世有子殿のところで
修行をさせてもらいなさい」
ご老体は杖を先ほど火が燃えていた場所にかざす。
すると、まばゆい光とともに翠月が現れた。
納得いかない顔してる。
「たまにはよかろう。
そなたにとってはまばたきをする間じゃよ。
……行くがよい」
ご老体はそういいながら、また雲になり、
あっという間に消えてしまった。
そして残された世有子さんと翠月。
翠月はバツの悪そうな表情。
「そういうことになったので、よろしく頼む。
世有子殿」
「なんてお呼びすればよろしいのでしょうか?」
「翠月と。
本当の名前ではないが、いいだろう?」
「はい、では翠月さま」
笑顔で名前を呼ぶ世有子さん。
なんかうれしそう。
オレもつられる。
ああああ、なにかいいことありそう♪
そして、オレはまたまた眠りについた。
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